医療で使われる薬は、開発が始まってから薬として認められるまで多くの段階を踏み、たくさんの人々の協力で作られます。
- 「くすりのもと」になる物質を見つける
- 病気の原因について詳しく調べ、効果が期待できる物質を探します。植物、動物、微生物などの天然素材から抽出したり、化学的に合成したり、バイオテクノロジーを用いたりします。最近では、DNAの分析によるゲノム情報も活用されたりします。こうして見つけられた多くの物質の性質や化学構造などを調べ、ふるいにかけて「くすりのもと」を選び出します。
- 「くすりの候補」を選び出す
- 選び出された「くすりのもと」は、動物や培養細胞を用いて、効果や安全性が調べられ「くすりのもと」が体内でどのように吸収され、分布し、代謝されるかまた、どのように排泄されるかも調べられます。多くの試験の結果、病気に対する効果が期待でき、かつ人に使用しても安全と予測された物質が「くすりの候補」として選び出されます。「くすりの候補」は「治験薬」と呼ばれます。
- ヒトでも有効で安全かを調べる-治験
- 治験薬がヒトに対して安全で効果があるかを調べたり、より効き目があり副作用が少ない使い方を調べたりします。この研究を「臨床研究」と言い、その中で国(厚生労働省)から医薬品としての承認を得るために行う臨床試験を「治験」といいます。医療機関が中心になり、3つのステップで行います。
- 「第相前期試験」
- 少人数の健康な人に、「くすりの候補」を使用してもらい、安全性について調べます。
- 「第相後期試験」
- 比較的少人数の患者さんに「くすりの候補」を使用してもらい、有効で安全な使い方(投与量・投与方法など)を調べます。
- 「第相試験」
- 多くの患者さんに「くすりの候補」を使用してもらい、有効性や安全性、使い方を確認したり、すでに承認されている薬などとの比較を行ったりします。
- 有効性と安全性が確認できた
「くすりの候補」を申請する
- 製薬会社は治験によって得られたデータをまとめ、薬として使用できるように国の承認を求めて厚生労働省に申請を行います。申請を受けた厚生労働省では、治験のデータをもとに十分な審査を行います。
- 新しいくすりが誕生する
- 専門家による審査の結果、安全性と有効性が認められた治験薬が医薬品として承認され、「新しいくすり」として誕生します。
- 追跡調査が行われる
- 承認されて実際に使われるようになっても、効果や安全性に関するさらに詳しい調査が行われ、今まで見つからなかった副作用などについて調べます。
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